カテゴリー
考え方

レッスン以外の対応

フレンドリーも大事

 PJLでは主に英語を媒介語として日本語を教えているので、ビギナーレベルの生徒さんとのコミュニケーションは英語のときがよくあります。そのためか、フレンドリーでカジュアルなスタイルで会話が進むことが多いです。ですからお互い肩の力が抜けて日本語学習に取り組むことができます。
 また、LINEやWhatsAppなどで気軽にチャットができるので次回のレッスン日時の確認や宿題のファイルのやりとりも簡単にできます。そしてレッスン終了後、その日に習った日本語の文を読んで録音し、すぐに送ることで生徒さんにリスニングの練習をしてもらうこともできます。

質問も来やすい

 気軽に連絡(チャット)ができるため、特に日本在住の生徒さんからは日常生活に関する質問もよく来ます。例えば、オフィスビルやマンションの館内放送の内容(エレベータの点検や設備の故障等)や生徒さんの買い物中、「”I can’t eat raw fish.”は日本語で何ていうの?」等、聞かれたときはなるべく早く生徒さんに返信をしています。この「なるべく早く返信をする」という気持ちは大事ですが、教師が忙しくて返信が遅くなってしまっても特に問題はありません。新米の頃の私は何でも生徒さんの要望に応えようと必死だった時期もあって返信が遅れてしまったときは、自分で勝手に猛省して落ち込むというような気持ちの浮き沈みがあり、自分自身にプレッシャーを与えていました。ですが大半の生徒さんはこちらからの返信が遅くなってもなんとも思っていないです。お互いに時間のある時にチャットやメールをすればいいのです。

できない時は”NO”と言う

 だからといって毎日頻繁に生徒さんとチャットしているわけではありません。私(教師)からは基本的にレッスンに関する連絡だけです。その時にちょっとした天気や季節の変わり目の内容を添えています。お互い気兼ねはいりません。ですが、生徒さんからの質問の中にはこちらが答えられないものやできない要望もあると思います。例えば翻訳作業の依頼です。教師はプロの翻訳者ではありませんから、無理に引き受けない方がいいですし、生徒さんの期待に応えようとして間違った翻訳をしてしまったら本末転倒です。その時は「できません」とはっきり伝えましょう。このように対応のメリハリがあるからこそ、生徒さんも教師を信頼して程よく良い関係を築けるのだと思います。言語のお手伝いだけではなく、生徒さんの心の拠り所になるよう、こちらも無理のない範囲で見守っていきたいものです。そうしてお互いかけがえのない関係を築くことができるでしょう。

カテゴリー
考え方

「易しい」を「簡単」で教えるべき理由

全部教えればいい?

 日本語にはたくさんの同音異義語があります。例えば「易しい(easy)」と「優しい(kind)」は音は同じですが意味が異なります。そしてこの単語は日本語学習の初級レベルの教科書によく登場します。さて、この両者の意味「易しい」と「優しい」を1回のレッスンで学習者に一度に教えることは最適なのでしょうか?
 実際に私のレッスンでは「優しい(kind)」を優先的に教えています。そして「易しい(easy)」の代わりに「簡単(easy)」という単語を教えています。その理由は以下の通りです。

1.学習者の日本語学習目的によって教える単語数を調整しているから。(試験対策をはじめ進学、就職目的の人がいる一方で基本的な日常生活の会話を目的としている人など)

2.仕事などで多忙な学習者にとって複数の意味を一度に教えることは彼らに負担を与えるから。

3.教師自身の日常生活を考えると「易しい」は限定的に使っていて、普段は「簡単」を頻繁に使っているから。

 もちろん「易しい」と「優しい」の二つを同時に教えることもありますが、それは上の理由に挙げた内容に照らし合わせて各学習者の理解の速さや進度も含めて調整しています。プライベートレッスンではレッスン内容の自由さと教師の応用力を駆使して各学習者に合ったレッスンを作っていくので通り一辺倒のレッスンはしません。

教師の不安

 さて、唐突ですが日本語教師として次のような気持ちになったことはありませんか?

気持ち1
複数の意味を持つ単語の意味を1つしか教えなかったら、後で学習者に「先生が教えてくれなかった」と批判されないだろうか…

気持ち2

本当は違う意味もあるのに言わなかったら教師として失格なんじゃないか?

 これらの気持ちから「とりあえず全部説明しておけばいい」という判断をしたことがあります。ですが今思えばそれは教師の不安を取り除くだけの行為で、学習者側の気持ちや学習レベルを全く考えていなかったのです。
 まず「気持ち1」に関して、10年以上日本語を教えていますが直接学習者から批判されたことはありませんし(友達に愚痴っているかもしれませんが(笑))、それで関係がこじれるようなことは今まで1度もありません。教師の杞憂に過ぎないということです。もし、学習者から「他の意味もありますよね」と指摘されたら、素直に「そうです」と答えればいいだけのことです。どちらかというとそちらの方がいいです。彼らが教師に日本語に関して意見を言うことは彼らの自信につながりますし、「じゃ、何で教えてくれなかったの!」という感情にはなりません。そして何よりも教師が学習者の環境を考慮した上で自信を持って1つの意味しか教えなったという考えがありますので不安になる理由がありません。
 そして「気持ち2」ですが、これは気づいていないと起こらない不安です。教えた単語に複数の意味があると教師が気づかない限り、この不安は生まれません。なので勝手に1つの事柄に集中して不安に思っているだけです。もし、あとから他の意味もあると気づいてそれが大事なことであれば、その時に学習者に伝えればいいでしょう。もしくは学習者のレディネスを確認した上で小出しに(段階的に)伝えることもあります。

“get”と”take”

 学生時代、英単語を覚えるのに苦労していました。例えば、

1.I got this one. (これをもらった。)
2.I got it. (わかった。)
3.I got on a train. (電車に乗った。)

 ”get”に複数の意味があることは有名ですね。日本語以上に複数の意味を持っていて慣れるのに大変でした。さて、せっかく覚えた単語ですが、3番目の”I got on a train. (電車に乗った。)”を実際に日常生活で使ったことはありません。その代わりに”I took a train.”を使っています。なぜなら私の周りにいる英語話者(いろいろな国の人)はみんな後者を使っているからです。”get on a train”と”take a train”には微妙に違う意味がありますが、単純に交通機関として利用している場合の「電車に乗る」と言いたい時は”take a train”と表現して問題ないようです。そして”get on a tarin”はもっとその動作に集中しているような意味合いがあります。
 英語の豆知識になってしまいましたが、日常生活でみんなが使っている表現を使うことは自然なことです。そしてこの状況は日本語の「易しい(easy)」をせっかく覚えたのに、周りの日本語話者が「簡単」を使っているからそちらでいいと考えるのと同じです。もちろん話す内容や地域、年代、時の流れで言語は変化しますが、少なくとも日本語話者の教師が生きた日本語を採用し、自分の判断に自信を持って学習者に伝えることが一番大事なことだと思います。

カテゴリー
考え方

専門用語って…

そのまま伝える?

 レッスン中、教科書や文法書に書いてある説明をそのまま学習者に伝えていませんか?
日本語教育に関する様々な書籍を読んでみて思うことは「専門用語」の多さです。教師用の書籍はもちろん、学習者向けの教科書にさえ言語学習のための専門用語がちりばめられています。(英語で書かれている文法書や教科書も同じです。)
日本語を学ぶために基本的な専門用語は覚えた方が役に立ちます。しかし、全ての学習者にメリットがあるわけではありません。

専門用語を当たり前にしないで!

 教師が思っている以上に、扱う専門用語は意識した方がいいでしょう。例えば下記の専門用語は言語学習に欠かせません。

主語+目的語+動詞
Subject + Object + Verb


上記は日本語の動詞文の語順を習うときに使われます。動詞と目的語を入れ替えれば英語の動詞文の語順になりますね。日本の英語教育でも登場します。

 少なくとも日本の中学校で見るこれらの専門用語は日本人なら知っている、覚えていることでしょう。ですが、覚えているからと言って英語がスラスラ話せるようになった…というわけでもありません。教師が当たり前のように扱う専門用語は、一人一人の学習者の理解度によって難しくもなります。授業中、慣れていない専門用語の登場で、実際に覚えなければいけない文型や単語に集中できなくなるかもしれません。

言い換えることが教師の仕事

 多くの学習者に理解してもらえるような説明をするために、教師は自分が得た知識を一旦咀嚼して簡単な単語で内容をまとめておくことが重要です。常にこれを行っていると教師自身も理解が深まります。そして授業中、教科書に専門用語がずらっと並んでいたとしても、教師はすぐにシンプルな言い換えができるので学習者の理解の助けになります。これこそが教師の仕事です。

 先ほどの「主語+目的語+動詞」をわかりやすい言葉に置き換えてみました。

ひと+もの+アクション
Person+Thing+Action

 
 スーパービギナーレベルの人に「飲みます/食べます/勉強します」などの動詞文を覚えてもらうには、上記のような説明もありです。更にここに助詞が加わるわけですからなおさら簡単にしておきたいところです。導入説明は最初の一時的なものですから、学習者がすんなり理解できるレベルに合わせればいいのです。そして何よりも大事なことは「私はパンを食べます。」などの例文提示です。

 つまり教師は教科書や文法書に書いてあることを気軽に学習者に「コピペ」のように伝えるのではなく、子供にもわかるくらいのやさしい伝え方を準備しておくことが重要です。それが教師の仕事といっても過言ではないでしょう。書籍からの「コピペ」のような伝え方は理解が早い学習者や教育関係の仕事に就いている学習者には通じても、他の学習者がおきざりにされてしまいます。

 また、間接法において英語で書かれた説明をそのまま学習者に伝えるのも丁寧な教え方とは言えません。教師自身がよくわからない英単語を辞書で調べて意味を理解したところで、英語を話す学習者がその単語を知っているとは限りません。日常的に使われていない単語は誰にとっても難しいのです。

 日本語学習が楽しいと思えるような工夫というのはシンプルな単語への言い換えが一役買っています。とにかく難しいと思わせないことが教師の仕事です。何よりも自分の言葉で伝えてみると心の優しさと理解への易しさが学習者に伝わりますよ。

 

カテゴリー
考え方

「色」が大事

「色」を意識する

 日本語教師の皆さん、「色」を意識したことがありますか?
授業やレッスンで使う教材作りをデジタルで作成することが珍しくなくなった昨今、少しでも「色」を意識して使うだけでオリジナル教材が見違えるほどに変化します。その教材を使えば、モノクロの教材よりも生徒の学習意欲を高める手助けとなり、何よりもレッスンが華やかで楽しくなります。

感受性を高める

 美しい景色を見た時、すてきな服を見つけた時、おいしそうな料理を目の前にした時、私たちはワクワク楽しい気持ちになります。日本語学習の時、このワクワク感を使わない手はありません。言語学習は「話す」「聞く」だけではなく「見る」「読む」動作も加わって向上していきます。(もちろん「書く」も大事ですね。)板書を含めた教材の大切さを今一度「色」を基準にして再考していきましょう。

オリジナル教材&板書を作ろう!

 では、どうやって色を取り入れればいいのでしょうか?一番大事なことは色の組み合わせを考えることです。まず、一般的に多く見られる教材や板書の色の使い分けとしては以下の例が見られます。

動詞の時制 板書例1

(1)文字の色 ➡ 黒
(2)大事な部分の文字の色、又はアンダーライン等 ➡ 赤


 では、ここに「色」を足してみましょう。

動詞の時制 板書例2



(3)枠 ➡ オレンジ
(4)枠の中の色 ➡ 薄い黄色

オレンジと黄色のように同系色の組み合わせはとても綺麗です。また文字やアンダーラインの赤もオレンジと黄色の同系色なのでトリプルカラーできれいにまとまりました。色の配分は枠を濃いめの色にして枠の中の背景色を薄い色で組み合わせるだけで変化があらわれます。そしてオレンジと黄色はビタミンカラーで元気が出ますね。

 文法導入の教材を作成準備するのであれば、色の配置をアレンジすることができますし、また、オンラインレッスンなどでとっさの板書でも枠を作るクセをつけておいて使う色も決めておくのがいいでしょう。

いろいろなツールを使おう!

 パソコンにはいろいろなツールが入っています。そのどれか1つでもいいので使い方をマスターしましょう。例えば、いくつかのツールでは背景全体に色をつけることもできますので薄いパステルカラーで変化をつけてその上に板書するだけでも華やかになります。文字は黒のままでもいいと思いますが、その他の枠や記号などの大事な部分の色は背景色に合わせた同系色(濃いめ)や隣の近似色(例えば黄色と緑、緑と青、青と紫など)を使って3色(背景色を含めれば4色もOK)くらいでまとめれば、綺麗に見えますし、画面がうるさくなりません。


下記の板書例は春のシーズンをイメージした色配置です。
こちらは全て同系色でまとめられています。

動詞の時制 板書例3

(1)背景色 ➡ ピーチ色
(2)枠線  ➡ ピンク
(3)枠の中の色 ➡ 薄いピンク
(4)大事な部分 ➡ 赤 

 人は美しいもの、きれいなものに惹かれます。そこには「色」が必ずあります。モノクロでさえ黒と白という色で構成されています。現在はデジタルですぐに教材が作れるので、日本語教師が扱う教材は常にモノクロではなくてもいいのです。オリジナル教材は教師の遊び心と綺麗なものを大切にする心を取り入れて完成します。そしてそれは必ず生徒の心に響くはずです。実際、「色」を取り入れるだけで多くの生徒からレッスンの好評をいただいています。生徒と一緒にワクワクしながら日本語学習を進めていきましょう。(今日ご紹介した板書例は全てパワーポイントで作成しました。)

 もっとオリジナル教材(デジタル)の作り方を知りたい方は
講座D「レベルアップ!オンラインレッスン方法」へ是非お申込みください!「色」を含めた効果の高い教材作りを伝授いたします。

カテゴリー
考え方

「学習」から「実践」へ!大事な例文作り

オリジナルの例文を作ろう!

 習う単元の例文は重要です。論理的で部分的な文型(文法)説明より生きた例文の方が学習者の心に伝わります。また文型説明というのは学習者の母語で書かれた教材やインターネットを検索すればすぐに出てきます。学習者が自分で予習もできるということです。では実際の授業では何が大切なのでしょうか?それは、教師が学習者の生活に寄り添って日本語を教えることです。私達教師しかできないことは学習者一人一人に合った例文作りです。それは教科書に書いてある一般的な例文ではなく、個人的なオーダーメイドの例文です。その学習者にだけ伝わるような例文です。そうすれば生きた日本語を確実に覚えて使うことができます。これこそ教師の創意工夫の1つです。

日記を書いてもらうこと➡教師のトレーニングにもなる

 もう一つ日本語が上達するための有効な手段は学習者に日記を書いてもらうことです。そうすれば彼らの実生活に関係する生きた日本語を使うことができます。これは文型導入後、練習を一通り終えたら宿題としてオススメできます。その際、他の単語や言い回しも日記に登場するので、それもていねいに教えることが大切です。これは教師のトレーニングにもなります。あらかじめ決められた単元や単語しか教えない、又はシラバスに沿うことに重点を置きすぎると言語の自由さを教えることが難しくなってきます。教師の柔軟性は学習者の日記の添削でも鍛えることができるのです。

学習者が私を変えた!

 まだ教師駆け出しの頃、レッスンで学習者と教科書を使って「意向形(volitional form)+とする」 (例:お風呂に入ろうとする、友達に話そうとする、等) の練習をしていました。そのとき学習者がおもむろにコーヒーカップを手に取り、口に運びました。そこで私はすかさず「ストップ!」と大きな声を出しました。私は「それが『飲もうとする』だよ!」と伝えました。すると彼は「そうか!これですね!」と驚き、満面の笑みを浮かべました。淡々と続いた教科書の練習より、学習者の行動に合わせて提示した例文が最強に生きた例文だったのです。

感覚で日本語を理解する

 このレッスン以降、私は以下のことに気づきました。

学習者は感覚で日本語を理解することが大事。

それは教科書にある一般的な例文だけではなく、
 学習者にとっての個人的な例文が必要ということ。

例文作りは教師の創意工夫の訓練になる。

 
 そこで私はできるだけ学習者の行動や日常生活、仕事や趣味に合わせた例文をつくることを心がけてきました。例えばIT関係の仕事に就いている人にはAIやテクノロジーに関する語句(カタカナでいけますね)を例文に取り入れたり、お子さんがいる人には学校行事に関する内容の例文を作ったりなど、彼らの身近にある物事を使った例文は明日にも話せる実践的な日本語です。
 また「学習」という概念をなるべくなくすためにも彼らに最近の出来事について夢中になって話してもらうというレッスンも行っています。そのとき教師はただ聞いているのではなく、習った日本語を取り入れてもらうように促すことが大切です。これは先ほどの日記と同じで教師の柔軟性を養う訓練にもなります。教科書での基礎学習は必要ですが学習者は(教師も!)機械的にそれをこなすという状況に陥ることがあります。そうではなく何のために日本語を習っているのか?という目的を意識して生きた日本語を使えるようにすることが教師の役目です。

 まずは学習者の好きなことを使って簡単な例文づくりから始めてみませんか?

カテゴリー
考え方

なぜ間接法が必要?

学習者のストレスフリーを目指そう!

 レッスン中、学習者からの質問に対してわかりやすい回答をすることを第一に心がけるべきです。無理をして全ての言動を日本語で通す理由は何もありません。学習者のレベルに合わせてやさしい日本語で話しかけることは大前提ですが、ちょっと複雑な説明をしなければならないときは、英語(又は学習者の母語など)で話した方が、学習者に寄り添ったレッスンとなります。日本語のレッスンなのだから、日本語を話さなければならないという縛りは全くありません。それはかえって学習者を混乱させたり、質問の回答を正確に受け取れない可能性があります。

学習者の生活環境を考えよう

 日本に住んでいる日本語学習者の生活環境を考えてみましょう。例えば、学習者の職場についてはどうでしょうか?同僚や上司がほとんど日本人で日本語を話す環境か、又は外資系の企業で職場ではほとんど英語やその他の言語を話すなど、それぞれ学習者の環境は異なります。もちろん、家族や友達、恋人などプライベートな時間のコミュニケーションは日本語が多いのでしょうか?それとも他の言語なのでしょうか?

 このように考えると、日本に住んでいても実際の生活ではあまり日本語を使っていない環境にいる人もたくさんいます。
そして、どのような生活環境にいようとも、日本語を学びたい人がたくさんいるのです。日本語を学ぶ目的も様々ですので、教師は学習者一人一人のレベルに合わせてレッスン内容を工夫する必要があります。

学習時間を考えよう

 日本語を学びたいという学習者の気持ちを真摯にくみ取って学習者に寄り添う。それは彼らの学習可能時間の考慮にもつながります。例えばプライベートレッスンでは忙しいビジネスマンとのレッスンがとても多いです。彼らの場合、レッスンは1週間に1回1時間のレッスンが多いです。このような状況で、レッスン中、教師は日本語だけを話すことに集中する必要は決してありません。日本に住んでいても英語がメインのビジネスマンもたくさんいます。毎日が英語脳になっている学習者に週1回1時間だけ日本語脳にさせることは正直至難の業です。それでも彼らは日本語を学びたくてレッスンを受けに来るのです。教師の役目は彼らの受け皿となって少しずつ日本語を教えて上達させること、それこそがプロの教師と言えます。

臨機応変に!

 まずは学習者が日本語を理解することが大事です。例えば、学習者が英語圏出身の場合、文型やフレーズの大事なポイントを簡単な英語でポンっと指し示すだけで、彼らの日本語の理解度は深まり、自然と脳に日本語が入ります。このようにして日本語への入り口を学習者のわかりやすい言語で開放させてみましょう。だらだらと長い説明を日本語でするよりも、シンプルな英語を使うほうが一番効率的でわかりやすくなります。ただし、英語ばかりになってしまっては本末転倒です。あくまでも日本語をメインとして、臨機応変に英語も取り入れてみましょう。そして日本語と英語の文の構造は全く異なりますので、「訳す」という観点では注意が必要です。その内容はこちら『間接法のコツ① 訳し方」をご覧ください!